第231回「歴史と人間」研究会

日時: 2015年1月31日(土)14時より *土曜日ですので、ご注意ください。

場所: 一橋大学西キャンパス職員集会所
(キャンパス地図7番 http://www.hit-u.ac.jp/guide/campus/campus/index.html

報告: 東風谷 太一氏
タイトル: 「近代バイエルンの手工業と営業の自由――『物権的営業権』(Real=Gewerberecht)をめぐる『所有』の問題」

要旨:
 本報告は18世紀後半から19世紀中葉までのドイツ・バイエルン地方を対象として、「営業の自由」導入をめぐる社会的相克を考察する。営業体制の自由化は社会の近代化の重要な指標として同時代から研究の対象となってきた。20世紀も後半に至るまでその過程は、「ツンフト制」に固執する「守旧的・受動的」な手工業者と「啓蒙的・革新的」な政府・官僚の対立を通して、工業化の抗いがたい趨勢のもと後者の掲げる「自由」が貫徹していくさまとして描かれてきた。昨今の中近世手工業研究はしかし、特に前者について、より柔軟な姿勢を持ち政治的にも能動的であったことを実証的に明らかにしつつある。
 こうした成果を踏まえ、本報告ではまずバイエルンにおける営業体制の自由化過程を跡付ける。そこから明らかとなるのは、政府・官僚が拒絶しえないようにその時々の「世論」に寄り添って自らの語りを変容させ自身の利害の正当化に努める手工業親方たちの姿と、特権や職域をめぐる日常的な反目から共通点を見出すことなど不可能に映る彼らを連帯させてしまう奇妙な「物権的営業権」(Real=Gewerberecht)の存在である。
 同時代の人々のみならず数多の先行研究においても「営業の自由」を阻む最大の要因のひとつと見なされながら、いまだに訳語すら一致せず、ときに誰の物なのかを特定することすら困難なこの「物権的営業権」とはいったい何だったのか。本報告では、最終的にこの問いへの答えを探りつつこれまで自明とされてきた「人と物の関係」を相対化する視座を求めたい。それはとりもなおさず近代的な私有制をめぐる問題構成にかかわってくるはずである。
 

* 次回は2月21日(土)、瀬尾文子氏によるご報告の予定です。
* 会員の皆様の一部に配信いたしました例会案内メールで、件名が誤っておりました。正しくは「reki-nin 231」です。訂正してお詫びいたします。


第230回「歴史と人間」研究会シンポジウム

「正確さ」と「迅速さ」の創出をめぐって―標準時と電信・電話網
 

日時: 2014年12月13日(土)14:00〜17:30
* 土曜日の開催となりますので、ご注意ください。
 

場所: 一橋大学西キャンパス職員集会所
(キャンパス地図7番 http://www.hit-u.ac.jp/guide/campus/campus/index.html
 

プログラム:
趣旨説明(14:00-14:10)
見市 雅俊(中央大学)
 

報告1(14:10-14:50)
石橋 悠人(日本学術振興会特別研究員)
「標準時を共有する社会の生成――19世紀イギリスにおける時間の経験」
 

報告2(14:50-15:30)
石井 香江(同志社大学)
「コミュニケーション革命を職場からみる――19・20世紀ドイツの情報通信技術とジェンダー」
 

休憩(15:30-15:45)
 

コメント1(15:45-16:00)
高嶋 修一(青山学院大学)
 

コメント2(16:00-16:15)
高林 陽展(清泉女子大学)
 

報告者からのリプライ・全体討論(16:15-17:30)
 

司会・進行
森 宜人(一橋大学)
 

忘年会(18:00〜)
 

シンポジウムの趣旨:
 「歴史と人間」研究会は、毎年12月、シンポジウムを開催してまいりました。今年は、科学技術の社会・文化史にかかわるテーマでシンポジウムを企画しました。
 19世紀の後半、欧米を先頭にして標準時が定められ、さらに電信・電話網が整備され、文字通り地球規模で、社会の活動のリズムと情報環境のありようが劇的に変わります。今日のグローバル化された世界の原型を、ここにみることも充分、可能でしょう。
 今回のシンポジウムでは、この大きな変化の「現場」に焦点を絞ることにします。これまでの研究ではあまり注目されることのなかった、標準時の確立とその普及につとめた科学者たち、そして電信と電話のオペレーターたちの奮闘ぶりが明らかにされ、さらに、これらの人びとの営為を通じて利用者の信頼が獲得されてゆく、その過程がつまびらかにされます。科学技術の進歩と私たちの生活・意識の変容とはどう絡み合うのか。さまざまな角度から論じる機会になればと願っております。
 多くの方々のご参加を心からお待ち申し上げます。

 なお、シンポジウムの後は、これも例年通り、同じ会場にて「大忘年会」(会費1,500円)を予定しております。こちらも奮ってご参加ください。とくに年長の方々の「差し入れ」を歓迎します。


第229回「歴史と人間」研究会

日時: 2014年11月15日(土)14時より *土曜日ですので、ご注意ください。

場所: 一橋大学西キャンパス職員集会所
(キャンパス地図7番 http://www.hit-u.ac.jp/guide/campus/campus/index.html
*今回はいつもの職員集会所ですので、ご注意ください。

報告: 清水 祐美子氏
タイトル: 「『民衆』の矜持と祖国愛の行方―ルイ・ナポレオンに捧げた歌に見る」

要旨:
 1852年の秋、ルイ・ナポレオン大統領(後のナポレオン3世)の肝煎りで、政府主導の全国民謡調査 (1852-1857) が開始された。この調査は、主に小学校教師など教育関係者や地方研究者の協力で行なわれたが、少数ながら、「民衆」の協力者もあった。
 本報告では、「民衆」がルイ・ナポレオンに宛てて送った詩歌や書簡を手がかりに、ルイ・ナポレオンへの支持表明のあり方、ならびに、第二共和政末期〜第二帝政初期にかけての時期における「民衆」の「政治」意識の特徴について考察する。
 

* 第230回「歴史と人間」研究会は12月13日(土)、シンポジウムと恒例の忘年会の予定です。


第228回「歴史と人間」研究会

日時: 2014年10月18日(土)14時より *土曜日ですので、ご注意ください。

場所: 一橋大学西キャンパス本館特別応接室
(キャンパス地図9番 http://www.hit-u.ac.jp/guide/campus/campus/index.html
*いつもの職員集会所ではございませんので、ご注意ください。

報告: 原田 桃子氏
タイトル: 「イギリスにおける移民政策の展開―1971年移民法の制定過程を中心に―」

要旨:
 本報告では、第二次世界大戦以降のイギリスで展開された移民政策について、特に1971年移民法(the Immigration Act, 1971)の制定過程を取り上げる。
 第二次世界大戦以降のイギリスでは、国内の戦後復興に伴う労働力不足を補うように、様々な国や地域から移民が流入し、多民族社会へとさらに変容することとなった。流入移民の中でも、植民地や新コモンウェルス諸国からの移民は、肌の色や生活習慣の違いから、イギリス社会にとって異質な存在として認識され、「カラード移民(coloured immigrants)」と呼ばれた。そして、彼らに対する人種差別的行為だけでなく、彼らの存在そのものがしばしばイギリス社会の国内問題として取り上げられていた。
 こうした問題に対して、歴代のイギリスの内閣は流入数抑制を目的とした移民政策を展開した。それにより、植民地や新コモンウェルスからの移民は、1948年イギリス国籍法(the British Nationality Act, 1948)が保証していた「母国」イギリスへの自由入国、定住の権利を奪われていった。このようなイギリスの移民政策は人種差別的という批判を受けており、その中でも1971年移民法はその内容から、特に人種差別的だとみなされている。しかし、先行研究においては、1971年移民法のその人種差別的性格が強調されるあまり、なぜそのような法律が制定されたのか、具体的な制定過程があまり解明されてこなかった。
 そこで、本報告では、1971年移民法の制定過程について、エドワード・ヒース保守党内閣での議論から検討する。そして、ヒース内閣が移民問題をどのように認識していたのか、多民族社会にどのように対応しようとしていたのかを解明したい。


* 次回は11月15日(土)、清水祐美子氏によるご報告の予定です。


第227回「歴史と人間」研究会

日時: 2014年9月27日(土)14時より *土曜日ですので、ご注意ください。

場所: 一橋大学西キャンパス本館特別応接室
*いつもの職員集会所ではございませんので、ご注意ください。
(キャンパス地図8番 http://www.hit-u.ac.jp/guide/campus/campus/

報告: 志田 達彦氏
タイトル: 「『カール大帝かシャルルマーニュか』—ヘルマン・ボーテ(1450/60?-1520?)の世界史記述におけるカール大帝像と帝権移転論—」

要旨:本報告は、後期中世の都市における帝国(imperium / Reich)観念を考察するための一助となることを目指すものである。
 中世の人びとにとって、ローマ帝国ならびに皇帝権は、最も重要な概念の1つであった。帝国が自らの生きる時代にも存在し、そして世界の終末まで存続することを、キリスト教的な歴史観のもとで論じたものが「帝権移転」(translatio imperii)論である。この理論は、天地創造から歴史を語る「世界史」と分かちがたく結び付いている。中世の帝国に生きる歴史家たちは、しばしばこのジャンルのテクストを執筆した。
 中世の帝権移転論では、歴史上4つの世界帝国(Weltreich)が存在し、その第4のものがローマ帝国であり、この帝国と皇帝権は、さまざまな民族に移転され、いまなお受け継がれていると考えられた。西ヨーロッパのヴァージョンでは、800年のフランク王カールの皇帝戴冠によって、東ローマ帝国の皇帝権が西のフランク王国に移転されたとされる。
 さて、次第に「ドイツ人」の支配領域に限定されていく帝国では、東から西への帝権移転をもたらしたカール大帝の位置付けは、微妙な問題であり続けた。中世の「世界史」叙述においては、「ドイツ人」が帝国を担う契機を、フランク人カールの戴冠ではなく、カエサルと「ドイツ人」との同盟にまで遡らせることがあった。また、武勲詩や物語のなかで、カール大帝は「フランス人」であるとされることもしばしばであった。「この皇帝は、ドイツ人であったのか、それともフランス人であったのか—このことをドイツ人は12世紀以降常に問い続けなければならなかったし、実に1935年になってもまだ議論は繰り返され」、「ドイツ史において20世紀にいたるまで、奇妙なほど不安定な位置しか占めることができなかった」(ハインツ・トーマス)という。
 以上の議論を踏まえた上で、本報告では、ハンザ都市ブラウンシュヴァイクのヘルマン・ボーテ(1450/60?-1520?)の世界年代記を取り上げ、ボーテの帝権移転ならびにカール大帝の位置付け、そして彼の「世界史」観においてこれらが持つ意味に迫りたい。
 

* 次回は10月18日(土)、原田桃子氏によるご報告の予定です。


第226回「歴史と人間」研究会

日時: 2014年7月27日(日)14時より

場所: 一橋大学西キャンパス職員集会所
(キャンパス地図6番 http://www.hit-u.ac.jp/annai/campus/index.html

報告: 川喜田 敦子氏
タイトル: 「二〇世紀の戦争と住民移動を考える―引揚げの国際比較のための試論―」

要旨:20世紀には、過酷な条件下での住民移動とそれに伴う暴力行使、ポグロム、大規模殺害、組織的殺害など、特定の民族集団に対する暴力が大規模化しかつ頻発した。その多くは戦争にともなうものである。今回は、そのなかでも領土変更をともなう戦後処理の一環として行なわれた住民移動の例として第二次世界大戦後の東欧からのドイツ系住民の移動を取り上げ、同時期の日本の「引揚げ」との比較を念頭に、移動の決定過程、戦後処理ならびに地域秩序再編との関連、移住ならびに統合をめぐるナラティヴの形成等に注目して論じ、20世紀の住民移動、とくに領土変更にともなう住民移動の国際比較の枠組みを考えるための試論としたい。

* 次回は9月27日(土)、志田達彦氏によるご報告の予定です。


第225回「歴史と人間」研究会

日時: 2014年6月15日(日)14時より

場所: 一橋大学西キャンパス職員集会所
(キャンパス地図6番 http://www.hit-u.ac.jp/annai/campus/index.html

報告: 内山 由理氏
タイトル: 「前世紀転換期のロンドンの学校と学校給食」

要旨:本報告では、前世紀転換期のイギリスにおける、学齢期の児童を対象にした学校の福祉事業について考察する。とりわけ自由党政権(1906−1914)の社会政策の一つであった1906年学校給食法The Education(Provision of meals) Actの成立前後のロンドンをとりあげ、都市の貧困問題の解消に向けて、当時新しく求められた学校の在り方について検討したい。学校給食法については、多くの先行研究が一部の貧窮児童に公費によって無償で食事の提供を認めたインパクトを指摘してきた。その一方、その実態がヴォランタリーな慈善活動を主体とした児童の福祉事業であり、学校が貧しい児童のソーシャル・ワークの拠点として整備された点は注目されていない。本報告では最近の福祉の複合体史研究の成果を取り上げながら、同法を契機として学校が学齢期の児童の福祉と教育の役割を担うようになったプロセスについて、個別の学校と慈善団体の関係やロンドン学務委員会の議論、同法成立後にロンドンに設置された児童保護委員会の活動を事例に分析するつもりである。


* 次回は7月27日(日)、川喜田敦子氏によるご報告の予定です。


第224回「歴史と人間」研究会

日時: 2014年4月19日(土)14時より *土曜日ですので、ご注意ください。

場所: 一橋大学西キャンパス職員集会所
(キャンパス地図6番 http://www.hit-u.ac.jp/annai/campus/index.html

報告: 阿部 安成氏
タイトル: 「直弼と首:1930年代の井伊直弼とその後」

要旨:
 本報告では、井伊直弼の銅像をとりあげます。ひととしての直弼は1860年に江戸桜田門外で死にました。没後五十年を経ようとするところで、1909年に横浜にその銅像が建てられ、翌1910年には彼の生地である彦根にも銅像が立ちました。横浜の直弼銅像については、かつて『記憶のかたち』(柏書房、1999年)で論じました。今回の報告では、その横浜の直弼銅像について「その後」にわかったことをふまえ、銅像というフィギュアが、まるでその像主(像のモデル)そのもののように扱われるようすをとりあげ、歴史を考えるときの「表象」という論点を示したいとおもっています。
 とりあげる事象は、おもに、1930年代の横浜での直弼銅像襲撃事件です。直弼の銅像の首を落とそうとした集団が逮捕された、というさして大事件ではないものの、このことが直弼銅像とひいては直弼をめぐる歴史の一部をかたちづくってゆきます。
 

* 5月は学会シーズンのため、お休みです。次回は6月15日(日)、内山由理氏によるご報告の予定です。


第223回「歴史と人間」研究会

日時: 2014年3月9日(日)14時より

場所: 一橋大学西キャンパス職員集会所
(キャンパス地図6番 http://www.hit-u.ac.jp/annai/campus/index.html

報告: 梅原 秀元氏
タイトル: 「『治療と絶滅』から『過去の克服と改革』へ―20世紀ドイツにおける精神医学の歩み」

要旨:
 本報告は、20世紀ドイツにおける精神医学の歩みを、とくに医学と政治の関係に焦点をしぼり、最近30年間のドイツなどにおける諸研究にもとづいて詳述するものである。その際、精神科が、医学において一つの科として認められるために、医学や社会のほかの領域とどのように結びつこうとしたのか、そして、このことが精神医学やその患者や関係者、そして社会にとって何をもたらしたのかという2つの問いを扱う。このことによって、ドイツ精神医学が19世紀後半以降医学および社会において確立していく過程、精神医学全般と政治・社会との相互関係、そしてナチス・ドイツの下での最悪の結果―患者に対する強制断種と安楽死―を示す。
 さらに本報告は、ドイツ連邦共和国―ドイツ民主共和国(旧東ドイツ)については本報告ではとりあげることができない―の精神医学と人々が、過去とどのように向かい合い、対話したのかを素描する。最後にこうした努力が21世紀においてもなお、ドイツ精神医学の重要な基礎の一つであることを示す。
 

* 次回は4月19日(土)、阿部安成氏によるご報告の予定です。


第222回「歴史と人間」研究会

日時: 2014年2月16日(日)14時より

場所: 一橋大学西キャンパス本館特別応接室
*いつもの職員集会所ではございませんので、ご注意ください。
(キャンパス地図8番 http://www.hit-u.ac.jp/guide/campus/campus/

報告: 川 亜紀子氏
タイトル: 「19世紀アルザスユダヤ人における教育と『再生』」

要旨:
 フランス革命のさなかに「解放」され市民権が与えられたユダヤ人に対しては、「ユダヤ教徒のフランス人」として「再生」させることがユダヤ人指導者層にとって急務とされた。もともとユダヤ人にとって教育は非常に重要なものであったが、「再生」を実現させるためには、新しい形の教育、とりわけ世俗的教育を施すことが有効だと考えられた。中でももっとも「再生」が必要だとされたアルザスユダヤ人に対しては、ナポレオンによって創設されたユダヤ教徒の監督機関である長老会のイニシアティヴの下、1820年代から世俗的教育の普及が目指された。それは、同時期に進展していたフランスの教育制度の改革を受容する形で行われた。
 本報告では、実際に設置された学校の性質や教育内容などについて、学校規則や各種書簡といった史料を通じて、長老会の目指していたユダヤ人教育とはどういったものであったか、19世紀半ばくらいまでを対象にして考察する。そして、アルザスユダヤ人が「フランス人」として「再生」されるために、どのようなことが必要と考えられていたか明らかにしていきたい。
 

* 次回は3月9日(日)、梅原秀元氏によるご報告の予定です。



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