第237回「歴史と人間」研究会

日時: 2015年9月27日(日)14時より
場所: 一橋大学西キャンパス本館特別応接室
(キャンパス地図10番 http://www.hit-u.ac.jp/guide/campus/campus/index.html
報告: 犬童 芙紗氏
タイトル: 「ジングアカデミーと19世紀ハンブルクの社会―合唱協会と慈善活動の関わり―」
要旨:
 19世紀ドイツには、共通の目的や関心のもとに自発的に集まった人びとで結成する自主組織「協会」(Verein)が数多く設立された。合唱協会は、19世紀ドイツに設立された協会の例としてよく言及されるが、1791年にベルリン・ジングアカデミーが設立されたのを機に、ドイツ各地で設立された。
 19世紀ドイツの合唱協会に関しては、これまで、男声合唱協会の合唱祭や祝祭とドイツ国民運動との関わりを中心に、多くの研究成果が生み出されている(松本彰氏他)。合唱協会が市民層の自意識の表現と結びついていたことは、井上登喜子氏が19世紀ドレースデンの合唱協会の実証研究を通じて明らかにしている。宮本直美氏は、合唱協会の活動を、市民的教養の理念との関わりから論じている。報告者は、ハンブルク・ジングアカデミーが毎年開催していた慈善目的を伴う演奏会に注目して、都市内部の社会的関係におけるジングアカデミーの位置づけやその役割について研究を進めている。
 ハンブルク・ジングアカデミーは、1819年に設立されたが、当初は、公開の演奏会を開催していなかった。だが1835年以降、毎年、聖週間に公開の演奏会を開催し、入場券やテキストの販売を通じて得た収益金を慈善のために寄付するようになる。当時、ハンブルクには、貧困層の増加を巡る社会問題の深刻化に対する市民層の関心が高まっており、市民の有志によって、貧民支援を目的とした慈善団体が相次いで設立されていた。ジングアカデミーはなぜ1835年になって、定期的に公開の演奏会を開催するようになったのだろうか。ジングアカデミーの慈善目的を伴った演奏会は、ハンブルク市民によって結成された様々な慈善団体の活動とどのように関係していたのであろうか。そこから、当時のハンブルク市民の間の社会的関係も明らかになるのではなかろうか。
 本報告では、まず、ジングアカデミーが1835年から定期的に公開で演奏会を開催するようになった経緯を明らかにし、その意義について論じる。それから、ジングアカデミーと19世紀ハンブルクにおける市民による慈善活動の関係、および市民の間の社会的関係について、演奏会の収益金の寄付先に注目して考察する。考察には、ハンブルクの州立・大学図書館に所蔵しているジングアカデミーの議事録、州立公文書館に所蔵している市参事会や教会の一次史料、および、ジングアカデミーから演奏会の収益金の寄付を受けていた慈善団体の年報や議事録を利用する。

* 次回は10月24日(土) 馬場わかなによる報告の予定です。


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