第213回「歴史と人間」研究会

日時: 2013年3月31日(日)14時より

場所: 一橋大学西キャンパス職員集会所
(キャンパス地図6番 http://www.hit-u.ac.jp/annai/campus/index.html

報告: 竹内 敬子氏
タイトル: 「イギリス逓信省における女性雇用の開始について」

要旨:
 イギリス逓信省で女性雇用が始まるのは1870年、電信事業が逓信省の管理下に置かれ、民間の電信会社に雇用されていた女性が移管されたことが契機となっている。これは、女性の公務員の雇用の始まりでもあった。1875年には貯金部門での「実験」的採用が始まり、その「成功」に導かれ、女性の雇用は次第に拡大し、20世紀初頭には逓信省は単体の雇用主として最大の女性雇用数を擁するにいたる。女性たちの職種は多岐にわたり、また、大都市のみでなく全国各地で女性が採用された。年金受給資格のある正規職員と並んで、非正規職員も存在していた。1876年から1913年まで貯金部門の管理職を務めたSmithのような女性も存在した。
 逓信省における女性雇用のあり方は、その他の女性公務員の雇用管理にとどまらず、19世紀末に向かって拡大しつつあった女性事務職全般の雇用管理にも影響を与えた、とされている。1876年に導入された結婚退職制(marriage bar)は、工場で働く女性労働者には存在しない制度であった。また、同一労働ないし同一価値労働をになう男女労働者に異なった職階を与え複線的に管理することで、女性の給与は男性よりはるかに低く抑えられていた。男女不平等な雇用管理に関し、1901年に設立された逓信省女性事務職員組合(the Association of Post Office Clerical Workers)が強くその是正を求めたことも興味深い。
 本報告では、逓信省における女性雇用の開始とその後の約10年余りの敬意を概観する。逓信省における女性雇用は、女性雇用拡大を訴えるフェミニスト達に支持されていたし、女性参政権を強く支持するヘンリー・フォーセットが逓信大臣を務めた時期には、雇用拡大が進んだ。しかし、他方で、女性を雇用することのコスト面でのメリットが一貫して貫かれ、逓信省での女性雇用は「安価な労働力」としての女性のあり方を制度化し、普及させた、という側面もある。こうした両義性に留意しつつ、逓信省における初期の女性雇用の意味について考察する。


* 次回は4月21日(日)、阿部安成氏によるご報告の予定です。



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